マイナンバーカードの問題点を整理し、最初に箇条書きで一覧化した後、それぞれの問題について簡潔に説明します。主に以下の観点を考慮してまとめます。
- セキュリティと個人情報漏洩のリスク: 情報流出の懸念や不正利用の可能性。
- 運用上のトラブルと管理の不備: 行政側の管理ミスやシステムの問題。
- カード取得の義務化と利便性の問題: 国民の受け入れ状況や利便性の問題。
- 民間利用の拡大によるリスク: 企業との連携拡大による新たなリスク。
- コストと税金の問題: システム維持費や運用コストの負担。 詳細な分析を行い、整理してご報告します。少々お待ちください。
マイナンバーカードの問題点
セキュリティと個人情報漏洩のリスク
マイナンバーカードに関しては、個人情報の流出や不正利用への懸念が根強くあります。例えば、2018年には横浜市鶴見区役所で交付前のマイナンバーカード78枚とカード発行端末が盗難に遭う事件が発生しましたonehr.jp。この事件では盗難直後に該当カードの電子証明書が失効されましたが、自治体内部での管理の甘さによりカードが流出するリスクが露呈しましたonehr.jp。また、システムの設定ミスによって問い合わせ内容と個人情報約1万2千人分が外部から閲覧可能な状態になっていたケースもありonehr.jp、運用上の不備が情報漏洩につながった実例があります。
ハッキングや不正アクセスによる情報流出リスクも指摘されています。実際、「新しいサイバーセキュリティーを導入すれば確実にハッカーからの侵入が起きるのは当然の前提だ」との指摘があるようにdiamond.jp、制度上どれだけ対策しても攻撃の可能性はゼロではありません。2023年6月にはクラウドサービス事業者の社労士向けサーバーがランサムウェア攻撃を受けダウンする事件も起きていますinsights-jp.arcserve.com。幸いこの事例ではマイナンバー情報は高度に暗号化され漏洩の恐れはないと発表されましたinsights-jp.arcserve.comが、大規模なサイバー攻撃が現実に起こり得ることを示しました。
マイナンバーカードのICチップ自体の安全性については、高いセキュリティ技術が施されています。ICチップ内のデータは暗号化され、税や年金などプライバシー性の高い情報はそもそもチップ内に記録されていませんekyc.showcase-tv.com。さらにICチップは耐タンパー性(不正改ざん耐性)を備えており、物理的・電気的にチップをいじって情報を読み出そうとすると内部データを消去する仕組みになっていますekyc.showcase-tv.comekyc.showcase-tv.com。加えて、マイナンバーカードで情報を利用する際は暗証番号による認証が必要であり、一定回数以上暗証番号を間違えるとロックがかかる仕様になっていますekyc.showcase-tv.com。これらの対策により、ICチップから直接情報が抜き取られたり偽造されたりするリスクは極めて低くなっています。ただし、カードそのものを盗まれ暗証番号も知られてしまえば悪用は可能なため、紛失時の速やかな利用停止手続きなど運用面でのセキュリティ対策も重要です。
運用上のトラブルと管理の不備
制度の運用面でも数多くのトラブルやミスが報告されています。個人情報保護委員会によれば、令和4年度(2022年度)だけでマイナンバー情報の漏えいや誤取扱いに関する報告が171件も寄せられており、そのうち地方公共団体からのものが83件に上りましたwww.ppc.go.jp。書類の紛失や誤交付といった単純な事務ミスが多く含まれており、現場での管理体制の不備が浮き彫りになっています。
近年明らかになった最大のトラブルとして、他人の情報を誤って紐付けてしまうケースが挙げられます。厚生労働省の調査では、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録する際に別人の保険情報に紐付けられていた誤登録が2021年10月~2022年11月末までに7,312件も発生していたことが判明しましたwww.digital.go.jp。この誤紐付けが原因で本来見られるはずのない他人の薬剤情報等を閲覧できてしまったケースも6件発生していますwww.digital.go.jp。2023年に入ってからも追加調査で1,069件の紐付けミスが新たに見つかっておりwww.m3.com、政府は全件点検と再発防止策の徹底を進める事態となりました。年金情報でも、自治体職員共済で元組合員の年金データに他人のマイナンバーを誤登録し、マイナポータル上に別人の年金記録が表示されてしまった例が確認されていますwww.digital.go.jp。
また、自治体窓口での手続支援端末の操作ミスにより、他人の銀行口座が誤って登録されるトラブルも起きています。2022年7月から2023年5月にかけて全国6つの自治体で合計11件、マイナポータル上の公金受取口座として他人名義の口座を登録してしまった事例が報告されましたnews.ntv.co.jp。これは支援端末の利用者がログアウトしないまま次の人が操作を始めてしまったことが原因で、前の人の口座情報が後の人に紐付いてしまったものですnews.ntv.co.jp。デジタル庁は各自治体に対しログアウト徹底など再発防止を通知し、システム改修でログアウト忘れによる誤登録を防ぐ対策に乗り出していますnews.ntv.co.jp。幸いこれらのケースでは誤った口座への入金など金銭被害は確認されなかったとされていますnews.ntv.co.jpが、放置すれば給付金が他人に渡る恐れもあり得た深刻なミスでした。
システムトラブルによる混乱も相次ぎました。コンビニでマイナンバーカードを使って住民票や印鑑証明を取得できるサービスでは、他人の証明書が誤って出力される不具合が2023年5月に発生しています。東京都足立区、横浜市、川崎市、徳島市の計4市区で延べ14件、住民票交付機で別人の住民票が交付される事故が起きましたwww.j-cast.com。さらに印鑑登録証明書の交付でも、既に廃止済みの他人の証明書が誤発行されるトラブルがさいたま市など3市で計11件確認されていますwww.j-cast.com。これらはいずれも特定ベンダーのシステムの不具合が原因でしたが、短期間に立て続けに問題が起きたため総務省は「極めて遺憾」としてシステム提供企業に原因究明と再発防止を求めましたwww.j-cast.com。こうしたトラブルを受け、一時的にコンビニ交付サービスを停止して点検が行われる事態にもなっていますnews.ntv.co.jp。
このように、カードの紐付けミスやシステム不具合、事務処理ミスによる個人情報漏洩など、運用上のトラブルが頻発したことで国民の不安や不信感を招きました。政府は2023年に「マイナンバー情報総点検本部」を設置し、関連データの総点検と再発防止策の徹底を図っていますwww.digital.go.jp。しかし現場のヒューマンエラーを完全になくすのは難しく、制度運用面の課題として残っています。
カード取得の義務化と利便性の問題
マイナンバーカードの普及策については、「実質的な義務化」に対する反発や利用上の利便性の低さも問題視されています。政府はマイナポイント(最大2万円分のポイント付与)など大規模なインセンティブを用いてカード取得を促し、将来的には健康保険証を廃止してマイナンバーカードへ一本化する方針まで打ち出しました。このような強制的とも言える普及政策に対しては「取得は任意のはずなのに事実上持たざるを得ない状況に追い込んでいる」といった不満の声もあります。とりわけ、2024年秋に現行の健康保険証を廃止する計画には世論の反発が強く、医療現場や高齢者団体から延期・撤回を求める意見が相次ぎました。結局、カード未取得者やカード利用が困難な人向けに**「資格確認書」**という代替証明書を発行する救済策が急遽講じられていますwww.mhlw.go.jp。これは、高齢者や障害者などデジタル端末の利用が難しい人でも従来どおり医療機関を受診できるようにする措置ですが、本来の健康保険証廃止方針が十分な準備や合意を欠いた拙速なものであったことを示しています。
高齢者やデジタルに不慣れな層にとって、マイナンバーカード取得や各種手続きは大きな負担となっています。カードのオンライン申請はスマートフォンやPCで行えますが、操作が分からない人のために自治体窓口で職員が支援するケースも多く、人手と時間がかかっています。またカード取得後も、暗証番号の管理や更新手続き、利用方法の理解など、高齢の方にはハードルが高い場面があります。実際、カードを取得していても日常的に携帯していない人が少なくありません。2024年2月時点で国民の73.3%がマイナンバーカードを保有するまで普及しましたが、その保有者の約46.7%はカードを日常持ち歩いていないことが調査で明らかになりましたwww.nli-research.co.jp。デジタル庁も「持ち歩くメリットの少なさ」や「紛失時のリスク」への不安が携行率の低迷につながっていると分析していますwww.nli-research.co.jp。多くの人がまだマイナンバーカードを生活必需品とは見なしておらず、必要な時だけ使うものと捉えていることが伺えます。
カードを紛失した際の手続きが煩雑である点も利用者にとっては不便です。紛失時にはまず24時間対応のコールセンターに連絡してカード機能を一時停止し、その後警察署に遺失届を提出して受理番号を取得する必要がありますwww.city.ota.gunma.jp。さらに市区町村役場の窓口に本人が出向いて再発行手続きを行わねばなりませんwww.city.ota.gunma.jp。再発行時には警察の受理番号や本人確認書類、顔写真、再交付手数料(通常1,000円)などが必要で、発行までに時間もかかりますwww.city.ota.gunma.jp。特にカードを唯一の身分証としていた場合、紛失すると本人確認書類が不足して手続きが煩雑になるケースもあります。このように、カード取得後の運用においても利便性より手間の方が勝ってしまう場面があり、高齢者・デジタル弱者への負担感につながっています。
以上のような理由から、「便利になるはず」と言われたマイナンバーカードがかえって市民に新たな負担や不安を与えている側面があります。真に国民に受け入れられるには、誰もが無理なく使えるサポート体制づくりや、紛失時の対応簡素化など利便性向上策が不可欠でしょう。
民間利用の拡大によるリスク
マイナンバーカードの利用範囲が行政分野から民間サービスへ拡大するにつれ、新たなリスクも生じています。政府はマイナンバーと銀行口座の紐付け(公金受取口座登録)を推進し、金融機関や携帯電話会社でも本人確認にマイナンバーカードを利用するケースが増えてきました。2023年時点でマイナンバーカードの累計交付枚数は9,000万枚を超え、人口比で70%に達していますがwww.sbbit.jp、これだけ広く普及したことで犯罪者による悪用の標的にもなりつつあります。
情報連携先が増えることで、個人情報漏洩のリスクも高まります。実際、民間のIT企業における大量データ漏洩にマイナンバーが含まれていた事例も出ています。ある労務管理クラウドサービスでは15万件以上の個人情報流出インシデントが発覚し、その中にマイナンバー情報も含まれていたことが報じられましたwww.sbbit.jp。民間企業が扱うデータからマイナンバーが流出すれば、犯罪グループに悪用される恐れがあります。国家機関だけでなく、連携する企業側にも高度なセキュリティと適切な個人情報管理が求められます。
また、マイナンバーカードや番号を使った 「なりすまし」 犯罪への懸念も広がっています。実際に起きた事件として、偽造したマイナンバーカードを使って他人の携帯電話番号を乗っ取る SIMスワップ詐欺 が報告されていますekyc.showcase-tv.com。大阪府八尾市の市議や東京都の都議などが被害に遭い、知らぬ間にスマホの契約者情報を他人に切り替えられてキャッシュレス決済で不正利用される被害が発生しましたekyc.showcase-tv.com。これらはショップでの本人確認に偽造カードが使われた可能性が高いとされていますwww.sbbit.jp。さらに2023年には、中国から入手した個人情報を使って日本国内でマイナンバーカードを少なくとも9枚偽造・不正取得したとして中国人の女が逮捕される事件も起きましたekyc.showcase-tv.com。押収されたPCには在留カード情報等約3,000件が残され、ICチップ付きの白紙カードが750枚も見つかったと報じられていますekyc.showcase-tv.com。幸いデジタル庁によれば押収された偽造カードのICチップには情報が入っておらず稚拙な偽造だったとのことですがekyc.showcase-tv.com、今後精巧な偽造が試みられる可能性は否定できません。
民間利用が広がることで、マイナンバーカードは実質的に社会の多くの場で「身分証明書」「認証キー」として機能するようになります。便利になる半面、それを悪用すれば銀行口座の不正開設やローン契約、携帯電話の不正取得などあらゆる詐欺に利用されかねません。SNS上でも「簡単に偽造できてしまうカードを本人確認に使うことは危険ではないか」といった疑問が呈されておりwww.sbbit.jp、制度への不安感が広がっています。実際にはICチップによる公的個人認証など技術的な防御策がありますが、窓口担当者の目視確認が不十分だと偽造カードでも通ってしまう可能性があります。民間事業者側での本人確認手続き(KYC)の隙を突いた犯罪を防ぐには、カードの真贋確認を含めた厳格な運用ルールと教育が不可欠ですwww.sbbit.jp。
さらに、マイナンバー制度自体へのサイバー攻撃リスクも民間経由で高まります。例えばマイナポータルと連携した民間サービスが乗っ取られれば、そこから公的情報に不正アクセスされる恐れもあります。こうした 「連携先の増加による攻撃面の拡大」 はセキュリティ上の課題です。今後、銀行や保険、証券など幅広い分野でマイナンバーの利活用が進む見込みですが、一社でも情報漏洩や不正利用が起これば被害は連鎖的に広がりかねません。制度の信頼性を保つためにも、民間利用拡大に合わせた厳重なセキュリティ基準の策定と監督が求められています。
コストと税金の問題
マイナンバー制度の導入・運用には莫大な税金が投入されており、そのコストと費用対効果も大きな論点です。総事業費は当初見込みを大きく超え、国の支出は累計で3兆円超に膨らんでいますwww.moneypost.jp。週刊ポストの試算によれば、マイナポイント事業(ポイント還元による普及策)に約1.8兆円、カード交付や自治体システム改修補助に1兆円超の国費が投じられ、当初予算の10倍以上に拡大したといいますwww.moneypost.jp。この巨額の投資にもかかわらず、必ずしも十分な成果が上がっていないとの批判があります。
まず、費用の内訳を見ると普及促進策に多大な税金が使われました。マイナポイント第1弾・第2弾では一人当たり最大2万円相当のポイント付与を行い国民にカード取得を促しましたが、結果として約5,000億円分のポイント予算が使われず余ったとも報じられていますhodanren.doc-net.or.jp。ポイント付与上限に達するほど利用されなかったためですが、巨額の予備費用が無駄になった形ですhodanren.doc-net.or.jp。またカード交付体制整備の補助金やシステム開発費用も重なり、国・自治体全体で当初想定を遥かに上回る支出超過となりました。
一方で、その投資に見合う効果が上がっているか疑問視されています。例えば健康保険証としての利用促進に数千億円規模の予算を投じたものの、医療現場でのカード利用率は低調です。2023年9月時点でマイナンバーカードの保有者は9,000万人を超え、7,000万人以上がマイナ保険証利用の登録を済ませているにもかかわらずhodanren.doc-net.or.jp、実際に医療機関受付でマイナンバーカードを提示して保険資格確認を行った患者は全体のわずか4.54%にとどまりましたhodanren.doc-net.or.jp。多額の予算をかけてカード取得・ひも付けは進んだものの、現場での活用は進んでいない状況が示されています。このギャップは費用対効果の面で問題と言えます。
さらに、システムの維持管理や不具合対応にも追加コストが発生しています。前述の各種トラブルへの対処や再発防止策(総点検や改修)にも臨時の補正予算が投じられていますhodanren.doc-net.or.jp。例えば2023年度の補正予算では、トラブル続きのマイナ保険証推進策のために新たに887億円が計上されましたhodanren.doc-net.or.jp。不備への対応に次々と税金が投入されている状況は、「燃え続ける穴」に資金を注ぎ込んでいるとの批判も招いています。
このようにマイナンバー制度は当初計画を大幅に上回るコスト高となり、国費負担が膨らみました。もちろん行政手続の効率化や給付金の迅速化など将来的メリットも期待されていますが、それらが巨額の投資に見合うだけのリターンを生むかは不透明です。国会などでも費用対効果や利権構造が取り沙汰されており、「予算ありきで拙速にシステムを作ったのではないか」「他の政策に回せたはずの税金ではないか」といった厳しい指摘がなされています。国民の理解を得るためには、具体的な効果の可視化や無駄の排除、透明性の確保が不可欠であり、今後も監視と検証が求められるでしょう。参考文献・資料:
- 【4】横浜市 「鶴見区役所における交付前マイナンバーカード及び交付用端末の盗難について」onehr.jponehr.jp
- 【3】個人情報保護委員会 「特定個人情報の漏えい等の防止について(令和6年6月)」www.ppc.go.jp
- 【11】Arcserve Japan 「企業のマイナンバー漏えい事例」insights-jp.arcserve.com
- 【13】ダイヤモンド・オンライン 「マイナカードが悪用されるとあなたに起きる7つの不幸」diamond.jp
- 【23】ProTech ID Checker コラム 「マイナンバーカードの安全性・セキュリティ解説」ekyc.showcase-tv.comekyc.showcase-tv.com
- 【8】デジタル庁 「マイナンバーの誤紐付け事案 (2023.6.20時点まとめ)」www.digital.go.jpwww.digital.go.jp
- 【29】日テレNEWS 「公金受取口座ひもづけで他人の口座を誤登録(2023年5月23日)」news.ntv.co.jpnews.ntv.co.jp
- 【31】J-CASTトレンド 「5月に頻発したマイナンバートラブル」www.j-cast.comwww.j-cast.com
- 【24】デジタル庁 「誤登録事案に関するQ&A」(河野大臣記者会見 令和5年5月26日)www.digital.go.jp
- 【41】ニッセイ基礎研究所 「マイナンバーカードの携行率が約半分という現実」www.nli-research.co.jpwww.nli-research.co.jp
- 【30】厚生労働省 「要配慮者へのマイナ保険証資格確認書交付について」www.mhlw.go.jp
- 【38】群馬県太田市 「マイナンバーカード紛失時の手続き(よくある質問)」www.city.ota.gunma.jpwww.city.ota.gunma.jp
- 【15】ビジネス+IT 「『偽造マイナンバー』で増えるSIMハイジャック」www.sbbit.jpwww.sbbit.jp
- 【22】ProTech ID Checker コラム 「偽装マイナンバーカードに関する事件」ekyc.showcase-tv.comekyc.showcase-tv.com
- 【19】マネーポストWEB 「マイナ事業の費用構造(3兆円の利権構造)」www.moneypost.jp
- 【21】全国保険医団体連合会 「補正予算・マイナ保険証推進に887億円投入」(医療制度批判)hodanren.doc-net.or.jp
- 【20】全国保険医団体連合会 「2023年度補正予算案の概要」(マイナ保険証)hodanren.doc-net.or.jp